4月の静寂と熱狂。伝統の一戦で見えた「強さのプロセス」


2026年 今季初のカード負け越し

昨夜の甲子園、最後は重い静寂に包まれました。

結果は3-4。巨人を相手に今季初の連敗、そして初のカード負け越し。

スコアだけを見れば「悔しい一敗」に違いありませんが、経営者として、また一人の野球人としてこのゲームを振り返ると、数字以上の「収穫」と「覚悟」が見えてきます。

■「4月」という季節の難しさ

先発のルーカスが初回に先制3ランを浴びた際、藤川監督はこう言いました。

「4月ですから、どんな選手でも簡単ではない。気にせず慣れていくこと」

この言葉には、現場を預かる指揮官の深い懐(ふところ)を感じます。

新しい環境、新しい組織。4月という時期は、どんなスペシャリストであっても「アジャスト」の最中にあります。

目先の1敗に一喜一憂して個を責めるのではなく、組織としての「伸びしろ」として受け入れる。

これは、ビジネスにおけるチームビルディングにも通じる至言ではないでしょうか。

光った5回裏の巨人バッテリーの配球

2-4と巨人2点リードの5回裏。阪神は1アウトから小幡竜平の左前安打と代打福島の内野安打で1.2塁とし、近本の右前安打で満塁と巨人先発田中将大を攻め立てます。

ここで2番中野がレフトへ犠飛を放ち3-4と1点差、さらに2アウト1.2塁でクリーンアップを迎えます。

打席には3番の森下翔太。

長打が出れば、一気に阪神が逆転できる場面でした。

この時のバッテリーの定石では、インコースは長打の危険があるので投げることはあまりありません。

セオリーで行けば、初球はアウトコースへのスライダーの場面です。

しかし、巨人岸田捕手は、初球にインコースへシュートを要求しました。

ボールになったのですが、この1球がこの試合を支配します。

通常このケースでは森下選手を打ち取るのに「高低差」を利用し、最後に田中将大投手のウィニングショットのスプリットで仕留めるのですが、

この状況で、巨人バッテリーは左右での揺さぶりを仕掛けてきました。

通常の逆の配球をされたことで、森下選手の読みがズレます。

その後、2球目に外側のスライダーをハーフスイング。1球外側のストレートでボールを挟みますが、

B2-S1からカットボールでファールを取られて、最後にスプリットを投げられ空振りを取られました。

初球にシュートを(ツーシーム)要求した岸田選手の勝利でした。

■「個」が放つ光、そして組織の課題

敗戦の中にも、希望は至る所に散らばっていました。

  • 佐藤輝明の確信の一振り: 田中将大投手から放った第4号2ラン。
  • 若虎・前川と高寺の執念: 7回の鮮やかな逆転劇。
  • 森下の執念: 8回、守護神・大勢から放った二塁打。

一方で、昨季の「堅守」や「盤石の継投」には、まだ少しの綻びが見えるのも事実です。

石井不在という台所事情、新戦力モレッタの経験不足、そして序盤のミス。

しかし、藤川監督の「これを経てまた強くなっていけばいい」という言葉通り、今はまさに「新しい勝利の方程式」を構築するための、産みの苦しみの中にいるのだと感じます。

■「特にコメントはない」に込められた美学

試合後の監督の「特にコメントすることはない」という一言。

これは突き放した言葉ではなく、**「終わった瞬間に、次の一戦への準備は始まっている」**というプロの切り替えそのものです。

お互いにギリギリの勝負をしているからこそ、負けもあれば勝ちもある。

大事なのは、その1敗を「ただの負け」にするのか、秋の歓喜へ繋がる「価値ある経験」にするのか。

■ さあ、リベンジへ。

開幕から続いていたカード負け越しなしの記録は途切れましたが、ここからが本当の勝負です。

悔しさを燃料に変えて、また明日から新しい戦いに挑む。

私も「虎渓三笑TV」を通じて、この「強くなっていくプロセス」を、皆さんと共に熱く、冷静に追いかけ続けていきたいと思います。

甲子園の熱狂は、まだまだこれからです。 頑張りましょう!

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